
平成25年頃、よく「公認会計士の就職難」についてニュースで取り上げられていたのは、皆さんにとっても記憶に新しいと思います。では平成27年現在、どのように状況は変化していきているのでしょう。今回は公認会計士合格後の就職率に着目しつつ、試験の難易度・合格率について触れていきたいと思います。
公認会計士の就職難は解消されつつある
では、そもそもなぜこんなにも就職難と言われるようになったのか、その経緯からご説明しましょう。それは合格者数の変動を見れば一目瞭然です。
平成17年度までは合格者数が1,000人程度だったのですが、平成18年の試験制度改正によって大きく合格者数が3,000人ほどまで増えました。平成19年度には4,000人以上の合格者が出ています。当時は好景気だったために監査法人も積極的に採用をしていたんですね。
しかし…
来たる平成20年9月15日、リーマンショックでさすがの監査法人も大打撃を受けました。監査法人である「新日本」「トーマツ」「あずさ」が続々と計1,000名規模の大型リストラを行いました。この3年で就職した若手の会計士は続々と首を切られることになり、このあたりから就職難の雲行きがどよどよと悪くなってきました。
そこでグラフから見て分かる通り、平成21年からは合格者数を調整して減らす修正を行いました。現在は1,200名程度の合格者に留めていることから、就職難は解消されてきているようです。
ちなみに弁護士は現在も毎年2,000名程度の合格者が出ていることから、就職難は継続されていて1/3程度は就職できずにいるそうです。
試験の合格率が上がっても難易度は厳しくなってる?
では次に、近年の公認会計士試験の出願者数と合格率を比較してみましょう。

合格率だけ見れば平成23年度から上昇傾向にあり、一見すると試験は難易度は低くなっているように見えます。しかし次のグラフに着目してみましょう。これは20歳〜25歳未満の方の出願者数のデータです。

全体的に出願者数は下がっていますが、20歳〜25歳未満の方にしぼっているのがこちらのグラフです。このグラフは何を示しているのかと言うと、「新規参入者」の増減を表しています。もちろん30歳になってから会計士試験を目指すようになった方も一部いるとは思いますが、多くの方は学生時に志して勉強を始めるようになります。この学生時の「新規参入者」が減ってきているということは、今から勉強している方は既に数年勉強している先輩方と戦って合格する必要があります。そのように考えると、難易度は徐々に上がってきていると言えるでしょう。
とはいえ学生時の有り余った時間を有効に活用することができれば合格への近道にもなります。年代別に見ると20歳〜25歳未満の年代が一番合格率が高いのも事実です。
合格しても20代後半の未経験は就職が厳しい?
就職難が解消されつつあるとは言え、実は落とし穴もあります。監査法人の人事をされている方の話を聞くとやはり若手人材を欲しているようです。そのため、一番内定が出やすいのは学生時代に合格したような若手層です。学生時代に遊ぶ時間を全て勉強時間にあてて、集中的に取り組んでいる姿勢なども評価の対象になっているようです。
次に内定が出やすいのが、20代後半で職歴が数年ある方。例えば2年公務員を経て公認会計士の試験に合格した方や、一度企業に勤め退職した後に合格された方など。やはり一度就業経験があると監査法人に入ってからも基本的なビジネスマナーなどが身についていることから
、即戦力として働けるのではないかと想像できるそうです。
しかしながら、ここでリスクを背負うことになるのが、20代後半で就業経験がない方です。つまりフリーターなどで大学卒業後も勉強に専念していた方は、上記の方と比較すると若干見劣りしてしまうそうです。監査法人では当然会計士試験に合格していることが最低限の条件になるため、試験に合格していることだけでは評価されないんですね。そのため、現在フリーターで試験の勉強をしている人やもうすぐ卒業する方はそのようなリスクも視野に入れて次の選択を取るべきです。
不合格でも受かる?狙うは未経験の経理職!
一般企業の経理職も公認会計士の資格を持っている人が多いのですが、実は資格がなくても経理職として働いている方は非常に多くいらっしゃいます。私も前職では総務経理職に従事しており、入金処理などの業務を任されていました。とはいえ会計士の試験勉強は一切したことがなかったのです。しかし社内で経理に適性があると判断されれば、そちらに配属されることもあります。公認会計士試験不合格でも経理職を狙うのであれば、次の2つの選択肢を考えましょう。
①数少ない未経験経理職を受ける
数は本当に限られてしまいますが、未経験でも経理職を受けられる求人はあります。
内定者の声|公認会計士不合格者が大手コンサルティング企業の未経験経理職で内定!
内定者の声|未経験 既卒で一部上場企業 経理職へ
上記のように、公認会計士試験に合格できなくても経理職としてのキャリアを築いている方はいます。一度経理職としての経験を積めば、他社の経理職に転職も優遇されます。そのため最初は中小企業の経理職であっても、将来的には上場企業の経理職として仕事ができる可能性も充分に考えられます。だらだらと資格の勉強を続けるよりも、一度一般企業に目を向けてみるのもありかもしれないですね。
②ベンチャー企業に飛び込んでみる
ベンチャー企業であれば、適性から経理職に異動になる可能性はあります。
内定者の声|慶應ボーイが不動産ベンチャーを選んだ理由
営業職の募集であったとしても、会計士試験の合格に近かったかたであれば面接において「将来的に経理職に就きたい」という旨を伝えてみてはいかがでしょう。
まとめ
今回は公認会計士の就職率や合格率、難易度についてまとめました。誰でも簡単に合格できる試験ではないため、リスクを把握しつつ勉強に専念していくことが良さそうです。未経験からでも経理職に就ける選択肢がありますので、今後のキャリアデザインを計画して行動していきましょう。