
2015年より、司法試験の受験回数が「5年で3回まで」から「5年で5回まで」受験可能になりました。3回しか受けられないというリスクから法曹を目指す人が減ることを避けるための施策となります。しかしその結果、高齢となって不合格となるリスクが高くなったということも視野に入れなければなりません。
参考:
司法試験受験回数制限を撤廃 改正法成立、15年から
Q. 就活に年齢制限はあるの?資格から民間企業に切り替えのタイミングは?
では、もし仮に司法試験に落ちてしまった場合、どのような選択をされる方が多いのでしょうか。下記に事例を挙げ、各リスクについてお伝えします。
司法書士:独立・開業も可能な「くらしの法律家」
司法書士の主な業務は
・不動産登記
・商業登記
・簡易訴訟代理
・債務整理
・成年後見
などである。登記業務がメインとなりますが、平成15年の法改正によって簡裁訴訟代理等能力認定を受けた司法書士であれば簡易訴訟において当事者の訴訟代理人として活動することができるようになりました。その結果、今まで「代書屋」と呼ばれていたようにただ法的な書類を作成しているだけ、というイメージから「街の法律家」というような弁護士よりも気軽に相談できるような法律家のイメージがつき始めています。また法外の金利を請求する悪徳金融に対して債務整理を行うことでも、一時期よくメディアで取り上げられていた職種です。特に成年後見人は司法書士が中心となって行っていて、高齢者の方のサポートにも取り組んでいます。
司法試験と出題される教科が似ているために、司法試験を諦めた方の多くが司法書士を目指すようになります。特に司法書士の場合は受験資格がないために、司法試験よりも気軽に挑戦できるという印象を持たれているケースが多いです。しかしながら司法書士試験の合格者はわずか3%にも満たないのが現状です。また司法試験と異なる分野で言えば不動産登記法を勉強する必要があり、また近年の司法書士試験の動向を見ていると、より実務に近い問題が出題されている傾向があります。少しだけ勉強しただけでは記述で足元掬われるので、司法試験を勉強していたからといって容易に合格できる試験ではないことに注意しましょう。
Point. 独立・開業可能な司法書士は魅力だが、司法試験を勉強したからといって容易に合格できるわけではない!
行政書士:調和と真心を胸に秘めた法律のプロ
行政書士の主な業務は大きく3つ。
・役所に提出する許認可等の申請書類の作成並びに提出手続代理
・上記以外。遺言書等の権利義務、事実証明及び契約書の作成等
・成年後見、ADRなどの新しいサービス
簡単に言ってしまえば、法的な書類作成のプロ、と考えてください。行政書士が作成できる書類は数千種類にも及びますので、それだけでも業務の範囲が非常に広いことがわかります。「権利義務、事実証明及び契約書の作成等」に含まれるのは、遺産分割協議書、各種契約書、念書、示談書、協議書、内容証明、告訴状、告発状、嘆願書、請願書、陳情書、上申書、始末書、定款、実地調査に基づく各種図面類(位置図、案内図、現況測量図等)、各種議事録、会計帳簿、申述書等、羅列しただけでもきりがありません。また司法書士が簡易訴訟代理の権限が付与されたことから、行政書士も商業登記ができるようになるのではないか、という見解が広まっています。現時点では定款しか行政書士は作成できないため、その後の登記業務には携わることができません。そのため商業登記をした方が良いという考え方が広がってきています。
試験の難易度は司法書士と比較すると簡単で、合格率は10%弱。しかしながら昨年度の合格率を見ると8.27%なので、とても安心できる合格率ではありません。また司法書士の資格よりも難易度が低いことから、行政書士の方も多いために仕事の取り合いとなります。行政書士でも独立・開業は可能ですが、そのためには営業や経営戦略をたてておかないと、これだけで食べていくのは難しいでしょう。
司法書士よりは簡単だが、行政書士だけで食べていくのは難しい!
次回は、公務員、裁判所書記官、そして民間企業へのシフトチェンジについて記載します。
【更に詳しい情報を聞きたい方はこちらへ】
就活の無料相談・面談(電話でも可)